COLUMN/INTERVIEW

【連載】ジャズ百貨店 名盤BEST 20 第6回:ソニー・ロリンズ『サキソフォン・コロッサス』

2016年の発売スタート以来、シリーズ累計出荷が75万枚を超えるユニバーサル・ジャズの定番シリーズ「ジャズ百貨店」。10月・11月に新たなラインナップ100タイトルが登場するのに先駆けて、これまでに発売された全510タイトルの中から“いま”最も売れている20枚をピックアップし、個性豊かな執筆陣が紹介します。



文:吉本秀純

通称“サキコロ”として親しまれ続けるモダン・ジャズの永久定番であり、軽快なメロディを持った2つの名曲を収録していることから“ジャズの最初の1枚”としても申し分ない。冒頭を飾る「セント・トーマス」は、ロリンズの両親の故郷であるカリブ海の米領ヴァージン諸島の中心地の島の名をタイトルに冠した、陽気なカリプソ調の旋律とリズムを効かせたオリジナル曲。一度聴けば覚えてしまうテーマ部分も素晴らしいが、即興パートに入ってからの次々と湧き立ってくるメロディやアイデアを具現化していく創造性に富んだロリンズのブロウ、アフリカの太鼓をドラム・キットで模したようなソロから4ビートに切り替えて加速させるマックス・ローチの変化に富んだドラミングも見事。親しみやすさとジャズらしいスリリングさが同居した名演でもあるからこそ、いつまでも古びない。クルト・ワイルが作曲した『三文オペラ』の“匕首マッキ”として知られる「モリタ―ト」も、楽曲自体の良さとともに10分を少し超えても冗長と感じさせない各人の演奏の冴えが際立っている。



他の3曲も、主役のサックスの多様な魅力がそれぞれに味わえる快演ぞろい。スタンダード「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」では歌心の豊かさ、スウィンギーに疾走する「ストロード・ロード」ではジョン・コルトレーンと双璧をなす(当時における)新世代テナー奏者としての力量の高さ、そして、ブルース形式で書かれながらも変則的なノリをみせる「ブルー・セヴン」では、後にハード・バップの典型などに収まることなく変容していく“鬼才”らしさも垣間見せる。なので、ジャズ入門にも最適な聴きやすさの一方で、アルバムの作りとしては音楽的にも演奏スタイル的にも1曲ごとにかなり別のベクトルを向いており、初聴ではあまりピンと来なかった曲がだんだんと良くなってきたりする。また、カリプソ、ヨーロッパ音楽、ブルースなど…ジャズにさまざまな要素が溶け込んでいることを楽しく教えてくれる快作でもある。


【リリース情報】
ソニー・ロリンズ『サキソフォン・コロッサス』

UCCO-5501
https://store.universal-music.co.jp/product/ucco5501/

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